『機動警察パトレイバー EZY File 1』を見てきました。
まず結論から言うと、
楽しめた。けれど、ちょっと微妙だった。
この一言に尽きる。
もちろん、僕はパトレイバーのファンである。
だからこそ楽しめた部分もあるし、逆にファンだからこそ気になってしまった部分もある。
今回は、長年パトレイバーを見てきた一人のファンとして、『パトレイバーEZY File 1』を見た率直な感想を書いていきたい。
僕とパトレイバー
映画の感想に入る前に、まず僕がどれくらいパトレイバーを見てきたかを書いておきたい。
視聴歴はこんな感じだ。
- 旧OVA『アーリーデイズ』:全話視聴
- テレビシリーズ:全話視聴
- NEW OVA:全話視聴
- 劇場版第1作:視聴済み(ビデオテープが擦り切れるくらい見た)
- 劇場版第2作:視聴済み(今も年1〜2回は見返す)
- 劇場版第3作『WXIII 機動警察パトレイバー』:視聴済み
- 実写版『THE NEXT GENERATION パトレイバー』:未視聴。
実写版『THE NEXT GENERATION パトレイバー』だけは未視聴だ。
逆に言うとほかの作品はすべて視聴済み。
パトレイバーに初めて触れたのは、小学生の頃だった。
ロボットやメカアクションが好きなことを知っていた母親が何気なくビデオ録画してくれたものを見て、僕はすぐに夢中になった。
同じ話を何度も何度も見返し、毎週欠かさず見るようになり、気づけばパトレイバーという作品にどっぷり浸かっていた。
特に劇場版第1作は、VHSのビデオテープが擦り切れるくらい何度も見た。
中学生の頃には、父親がたまたま声をかけてくれて、劇場版第2作を見ることになった。
そこでさらに、パトレイバーという作品の魅力に深くはまっていった。
一番好きな作品はどれかと聞かれれば、やはり劇場版第1作だと思う。
あの作品は、重厚なテーマと複雑なストーリーを持ちながら、ロボットバトルアクションとしてもきちんと成立していた。
エンターテインメントとしての完成度が非常に高かった。
しかも、物語のトリガーになるのが台風である。
レイバー、OS、コンピューターウイルス、都市インフラ、そして台風。
この組み合わせだけで、もう十分にスペクタクルがある。
当時1989年という時代に、レイバーのOSとコンピューターウイルスという題材を扱った着想も非常に先進的だったと思う。
今、僕がコンピューターに関わる仕事をしているのは、間違いなく劇場版第1作の影響が大きい。
パトレイバーは、僕の人生にかなり大きな影響を与えた作品である。
そんな僕が、令和で復活したパトレイバー、『機動警察パトレイバー EZY』を見て、どう感じたのか。
率直に書いていきたい。
結論:楽しめた。でも、手放しでは褒められない
『パトレイバーEZY File 1』は、全体としては楽しめた。
ただし、手放しで「最高だった」とは言えない。
見ている間、僕はずっとニヤニヤしていた。
「ああ、パトレイバーだな」と思う瞬間も何度もあった。
しかし同時に、
「ここはちょっと微妙だな」
「もう少し描き方があったんじゃないかな」
「この話を劇場でやる必要はあったのかな」
と思う場面も少なくなかった。
つまり、ファンとしては楽しめた。
しかし、一つの新作アニメーション作品として見ると、気になるところもかなり多かった。
そんな印象である。
良かったところ:新キャラクターはかなり魅力的だった
まず良かったところから書きたい。
今回の『パトレイバーEZY』で一番良かったのは、キャラクターだと思う。
旧作パトレイバーは、とにかくキャラクターが魅力的だった。
泉野明、篠原遊馬、太田功、進士幹泰、後藤隊長、南雲隊長、シバシゲオ。
誰を見ても個性が立っていて、一目で誰かわかる。
キャラクターデザインとしても、性格づけとしても、非常に完成度が高かった。
それだけに、新作で旧作メンバー以外のキャラクターを立てるのは、かなり難しい作業だったと思う。
下手をすれば、旧作キャラの劣化コピーになる。
逆に旧作から離れすぎれば、パトレイバーらしさが消えてしまう。
その難しいバランスの中で、今回の新キャラクターたちはかなり頑張っていたと思う。
主人公の久我十和、相棒である天鳥桔平を中心に、取り巻くキャラクターたちにもそれぞれの個性があった。
旧作ほど尖ってはいない。
しかし、令和の時代に合わせて、うまくマイルドにアレンジされていたように感じた。
全員が濃すぎるわけではないが、それぞれに役割があり、見分けもつく。
そこは素直に良かった。
特に、第1小隊隊長の国木田隊長(CV:大塚芳忠さん)と、特車二課長 安井鋼太郎(CV:山路和弘さん)のやり取りはかなり印象に残った。(CVが強すぎるw)
この二人の会話には、深みと間があった。
単なる説明役ではなく、「この人たちにも過去があり、積み重ねてきた時間がある」と感じられる空気があった。
次に登場する機会があるなら、かなり楽しみな二人である。
レイバー描写とアクションも悪くない
レイバーの描写も、全体としてはよくできていたと思う。
CGを使ったロボットアクションは、見応えがあった。
イングラムが動くところを見るだけで、やはりファンとしては嬉しい。
現代の技術で描かれるレイバーは、旧作とはまた違う質感がある。
昔のセルアニメの重さや手描きの味とは違うが、これはこれで悪くない。
レイバーが現代に戻ってきたという感覚はあった。
ただし、ここはパトレイバーらしいと言えばパトレイバーらしいのだが、今回もロボットがそこまで大活躍するわけではない。
パトレイバーは、ロボットが主役ではないロボットアニメである。
主役はあくまで人間であり、職場であり、警察であり、社会である。
そこが魅力でもある。
しかし今回は、その「ロボットが活躍しなくても面白い」という部分が、やや弱かったように感じた。
第1話「トレンドは#第二小隊」は導入として悪くない
File 1では3話が上映された。
第1話は「トレンドは#第二小隊」。
これは、ある動機に基づいてレイバーを暴走させる犯人がいて、それを第二小隊が追うという、ある意味ではわかりやすい警察のお仕事的なストーリーだった。
話自体は、正直悪くなかったと思う。
各キャラクターの紹介をしつつ、誰がどんな立ち位置なのか、どんな性格なのかを見せていく。
新シリーズの導入としては、一定の役割を果たしていた。
もちろん、ものすごく面白かったかと言われると、そこまでではない。
ただ、File 1の1本目としては、十分に意味のある話だったと思う。
第2話「閑中妄あり」は劇場でやる話だったのか
問題は第2話「閑中妄あり」である。
これは、パトレイバーによくある日常回に近い話だったと思う。
事件が大きく動くというより、キャラクターの妄想や掛け合いを楽しむタイプのエピソードである。
ただ、正直この話は微妙だった。
キャラクターが妄想するという立て付け自体は悪くない。
パトレイバーには、もともとそういう変化球の話がある。
しかし、いかんせんテンポがあまり良くなかった。
声優さんたちの熱演があったので、最後まで見られた。
でも一歩間違えば、「なんだこれ、つまらないな」と思って席を立つ人がいてもおかしくなかったのではないかと思う。
僕はファンなので、当然最後まで見た。
面白かった部分もある。
(令和でCGで描かれた零式が見れるなんて!)
ただ、劇場作品として上映する話だったかと言われると、少し疑問が残る。
テレビシリーズの中に1本入っているなら、まだわかる。
しかし、劇場でFile 1として見せる3本のうちの1本としては、少し弱かったように思う。
第3話「ホンモノが一番」は少しとっ散らかっていた
第3話「ホンモノが一番」は、コミック版パトレイバーのとある一話をモチーフにしつつ、オリジナル要素を加えて再構築したストーリーだったと思う。
ただ、この話も少し気になった。
まず、登場人物が多すぎた。
俳優を見せたかったのか。
俳優と第二小隊の絡みを見せたかったのか。
それとも、制作側のメタ的な視点や映画制作の裏側をストーリーに絡めたかったのか。
正直、狙いが少しわかりづらかった。
全体的にややとっ散らかっていた印象がある。
これは第1話、第2話にも少し言えることかもしれない。
それぞれに面白い要素はあるのだが、一本の話としてのまとまりや、見終わった後の満足感がやや弱い。
特に第3話は、もう少し整理すればもっと面白くなったのではないかと思う。
音響面でセリフが聞き取りづらい場面があった
これは僕が見た映画館の環境によるものかもしれないが、音響も少し気になった。
セリフがガチャガチャしていて、聞き取りづらいシーンが何度かあった。
メインの会話の後ろで、別のキャラクターが何かを話している。
そこに効果音やレイバーの動く音が重なる。
その結果、何を言っているのか聞き取りづらい場面があった。
これは正直、少し残念だった。
パトレイバーは会話劇が魅力の作品でもある。
だからこそ、セリフが聞き取りづらいのはかなりもったいない。
アクションの迫力も大事だが、パトレイバーの場合、何気ない一言や会話の間こそが作品の味になる。
そこが埋もれてしまうのは、少し惜しかった。
旧作キャラクターの登場は嬉しいが、少し寂しくもあった
旧作のキャラクターが登場してくれたのは嬉しかった。
シゲさん、進士さん、太田(呼び捨てw)。
彼らが令和のパトレイバーに顔を出してくれるだけで、ファンとしてはやはり嬉しい。
ただ、少し気になったところもある。
なんとなく、旧作キャラが「おまけ」のように登場していたように感じた。
もちろん、新作なのだから新キャラクターを中心に描くべきである。
旧作キャラが前に出すぎると、それはそれで新作の意味が薄れてしまう。
しかし、出すなら出すで、もう少し良い役回りがあってもよかったのではないかと思う。
年を取った旧作キャラクターを見ること自体は、悪くない。
むしろ時間の流れを感じられて良い。
ただ、どこか年取って、少し残念な感じになってしまっているように見えて、見ていてちょっと寂しくなった。
活躍させろとまでは言わないが出し方がどうしても気になった。
主題歌「黎明コンパス」はかっこいい!でも作品とは合っていたかといわれると…
主題歌の「黎明コンパス」についても触れておきたい。
森カリオペさんの歌は、率直に言ってめちゃくちゃかっこよかった。
誤解しないでほしいが、僕は森カリオペさんが好きだ。
歌そのものも、とても良かったと思う。
ただ、今回のFile 1の3話に合っていたかというと、少し疑問が残る。
今回の3話は、パトレイバーの中でもやや抜けた話、ずれた話、けれん味のある話が多かった。
パトレイバーのかっこいい部分を真正面から集めたような内容ではなかったと思う。
一方で「黎明コンパス」は、かなりおしゃれで、かなりかっこいい。
曲が良すぎる。
かっこよすぎる。
だからこそ、作品本編との間に少しちぐはぐさを感じてしまった。
もっとシリアスで、もっと大きな事件を扱うエピソードで流れたなら、印象は違ったかもしれない。
曲は良い。
ただ、File 1との相性はそこまで良くなかったように思う。
あと、TVシリーズの初期オープニングテーマ「そのままの君でいて」が作品と合い過ぎてたのもあるかもしれない(思い出補正もあるけどね)
久我十和のある行動には感情移入できなかった
もう一つ、気になったところがある。
主人公の久我十和である。
第1話、第2話を見る限り、僕は久我十和をそれなりに魅力的なキャラクターだと思っていた。
無茶をするところもあるが、主人公としての勢いや個性は感じられた。
あと、普通にちょっとかわいいとすら思った。
しかし、第3話「ホンモノが一番」で見せたある行動には、正直まったく感情移入できなかった。
言ってしまえば、職権乱用や公私混同に見えるようなシーンである。
上坂すみれさんが熱演していたからこそ、余計に残念だった。
ポスターのキャッチコピーには「こいつら、これでも警察官!?」という表記がある。
だから、警察官らしくない警察官を描くことも、一つのテーマなのだろう。
それはわかる。
しかし、パトレイバーの良いところは、どれだけ破天荒でも、どれだけめちゃくちゃをやっても、彼らはあくまでも警察官としての矜持を持っていたところだと思う。
抜けている。
だらしない。
いい加減に見える。
でも、最後のところでは警察官として正義を執行する意思をたしかに感じられる。
そこに僕は強く共感していた。
だからこそ、警察官としてあまりにも逸脱した行為を露骨に見せられると、少し冷めてしまう。
「こいつら、これでも警察官!?」と笑えるラインと、
「いや、それは警察官としてダメでは」と感じてしまうラインは、かなり違う。
今回の第3話では、そのラインを少し越えてしまったように僕は感じた。
それでも、僕はニヤニヤしながら見ていた
ここまで、かなり気になる点を書いてきた。
ストーリーはやや散らかっている。
第2話は劇場向きか疑問が残る。
第3話は登場人物が多く、少しまとまりに欠ける。
音響も聞き取りづらいところがあった。
旧作キャラの扱いにも少し寂しさを感じた。
主人公の描写にも引っかかる部分があった。
では、つまらなかったのか。
そう聞かれると、答えは違う。
僕は楽しんだ。
なんだかんだ言いながら、見ている間、ずっと口角が上がっていた。
「この話、ちょっと微妙だな」
「この描写、どうなんだろう」
「もう少しやり方があったんじゃないか」
そう思いながらも、ずっとニヤニヤしていた。
これがパトレイバーだよな、と思ってしまった。
良いところも悪いところも含めて、妙に愛着が湧いてしまう。
文句を言いながら、結局楽しんでいる。
そういう意味では、僕はやはりパトレイバーのファンなのだと思う。File 2にも期待したい
『パトレイバーEZY』は、全8話・全3章構成で展開される予定である。
File 2は2026年8月公開予定とのことだ。
今回のFile 1には、正直気になるところも多かった。
しかし、それでも僕は続きを楽しみにしている。
なぜなら、粗さはあっても、楽しめたからだ。
キャラクターには魅力がある。
レイバーの描写も悪くない。
佐伯隊長や国木田隊長、安井課長のように、もっと見たいと思えるキャラクターもいた。
あとは、ストーリーのまとまりや、パトレイバーらしい職業ものとしての面白さがもう少し出てくれば、かなり良くなる可能性があると思う。
File 1は、少し様子見の第1章だった。
次のFile 2で、作品として一段ギアが上がることを期待したい。
まとめ:微妙。でも、やっぱりパトレイバーは好きだ!!
『パトレイバーEZY File 1』は、僕にとって手放しで絶賛できる作品ではなかった。
むしろ、微妙だと感じた部分はかなりある。
それでも、楽しめた。
それでも、続きを見たいと思った。
これはたぶん、僕がパトレイバーという作品に長く付き合ってきたからだと思う。
小学生の頃にビデオテープで何度も見たパトレイバー。
中学生の頃に劇場版第2作でさらに深くはまったパトレイバー。
コンピューターやシステムに興味を持つきっかけにもなったパトレイバー。
その新作が令和に作られ、映画館で見られる。
それだけで、やはり感慨深いものがある。
文句はある。
言いたいこともある。
でも、次も見に行くと思う。
パトレイバーというコンテンツが、令和に生きている。
それだけで、十分に嬉しい。
それが今の僕の、正直な感想である。





